大都市から小さな町まで、アメリカ中のあらゆるところでこの時期開催されているFair(フェア)は、日本で言う夏祭りのようなイベント。大きな敷地に移動遊園地が設置され、たくさんの屋台が立ち並ぶ。サンディエゴでも毎年夏の初めの1ヶ月間、デルマーフェアグラウンドという海沿いの広大な敷地でフェアが開催される。アメリカでフェアと言えば、全米の誰もが認めるジャンクフードバラダイス。右を向いても左を向いても、立ち並ぶのはジャンクフードの屋台ばかり。
アメリカではここ数年フードトラックブームで、大都市を中心にとてもグルメで本当に美味しい料理が街角で屋台感覚で食べられる傾向にあるが、ここフェアでの屋台はそのトレンドとはかけ離れている。ここにはグルメというものはなく、ど派手な看板のついた屋台でみんながこぞってジャンクフードを販売する。それはハンバーガーやホットドックなどといったとてもスタンダードなものから、キャンディーでもチョコレートでもお肉でもなんでも油で揚げてあるぞという揚げ物専門店や、これまた何でもベーコンで巻いてますという超不健康な店まで幅広い。どの店も、味で勝負というよりは、究極のジャンクさを競っているかのように、普段なら絶対食べないような「うわ~・・・」という食べ物がたくさん並んでいるのだ。そして、そのジャンクフードに群がる人達。毎年このフェアを楽しみにしている子供達と、同じようにフェアを毎年経験して育った親(大人)達だ。せっかく夏に向けてダイエットをしたという人でも、フェアに来たらすべてのルールを忘れている。
脂っこいファーストフードにこってり甘いお菓子をたいらげ、遊園地で絶叫系の乗り物を乗りまわる子供達。モンスタートラックのショーや、大物歌手のコンサートシリーズなどもあり、数々の日替わりイベントも充実している。大人も子供になれる一大イベント。まさに長いアメリカの夏休みの幕開けにふさわしい、いかにもアメリカらしいイベント。しっとり浴衣を着て出かけるような日本の夏祭りのような情緒はまったくなく、思いっきりアホになれる楽しさ。アメリカの夏のはじまりである。