日本でバタークリームというと、子どものころに食べていたクリスマスケーキ・・・(と言ったら歳がばれますな)。口の中が油分でコーティングされてヌルヌルしていたのを覚えています。
特に冷蔵庫に入れておいた残りのケーキのバタークリームはもうクリームではなくただのかたくなったバター。それでも、選択肢がなかったので(少なくとも当時こどもだったわたしには選ぶ余地はなかった・・)おいしくいただいていました。でも、ある時を境に生クリームのクリスマスケーキを食べるようになり、「どうして今まであんなまずいクリームのケーキを食べさせられていたのか」と子供心にも腹立たしさを覚えたのでした。
それから何十年か経って、子どものころ以来だったバタークリームに再会したのはアメリカで製菓学校に通っていたとき。授業でケーキを習い始めたときに真っ先に出てきたフロスティングレシピがバタークリーム。うわ~、最悪だ~、と思ってると、となりのアメリカ人のクラスメートも「バタークリームって苦手・・」と。でも、わたしたちの課題の半分以上がバタークリームのバリエーションで作られたデコレーションケーキだったのです。試食も勉強の一つなので憂鬱になっていましたが、作り始めてみると、これが楽しい。メレンゲの輝きが美しく、そこにバターを投入すると、またなんともいえない光沢が。そしてお味のほうは・・・おいしい!小さいとき食べていたバタークリームとは大違い!月とすっぽん!大人と子供!豚に真珠!(これは違う) そして、ケーキのセクションが終るころにはお隣の彼女もわたしも生クリーム派からバタークリーム派へと改宗したのでした。
バタークリームって、こってりしていて、それこそベタベタヌルヌルな印象ですが、ここでご紹介するバタークリームは意外と軽く、甘さもすっきりしているのです。今じゃ、生クリームの方が甘ったるく感じるくらいです。生クリームより安定しているので、デコレーションにもぴったりです。そして、バタークリームをおいしく食べるのにとても重要なティップ・・・それは温度です。食べる前に絶対に室温に戻さなくてはなりません。いくらおいしいバタークリームでも冷蔵庫から出してすぐに食べると、子どものときのあのクリスマスケーキの二の舞になります。
バタークリーム大好きな人はもちろんですが、バタークリームは苦手・・と思っている方に特にお試しいただきたいレシピです。
- 卵白(大) 6個分(180-200ml)
- 砂糖 1¼カップ(250g)
- バター(大さじ1大に切り分け、室温にもどす) 2カップ(450g)
- バニラエッセンス(あるいはお好みのかおり) 小さじ1
- 鍋に水をいれ、沸騰直前まで熱し、弱火に保つ。その上に卵白と砂糖を入れたボールをのせ、泡だて器で常にかき混ぜながら熱くなるまで(摂氏60度/華氏140度)温度を上げる。
- 卵白をミキサーで角が立つまであわ立てる。つやが出て、冷めるまで7-10分くらいが目安。
- メレンゲをミキサーでかき混ぜながらバター(室温)を大さじ3-4づつ入れていく。途中ゆるくなるが10-15分かき混ぜ続ける。バニラエッセンスを加える。