アップルバターってご存知ですか?りんごのバター?バターとりんごを混ぜたもの?いろいろ想像が広がりますが、実はこれ、りんごの餡子とでもいうような、りんごを長い間煮詰めて作ったペーストです。りんごの収穫を終えた秋になると、マーケットに出回る季節限定のアメリカの秋の味。りんごの味がぎゅ〜っと凝縮された、おいしいペーストです。
子供ができて家族を持つようになってから、秋になるとりんご狩りやパンプキンパッチなど、収穫時期の農園に出向くことが多くなりました。この時期に農園の直販店や田舎町のマーケットでよく目に付くのが、瓶詰めになって売られているアップルバター。うちの主人が、子供の頃大好物だったというこのアップルバター。数年前から毎年秋になると買うようになりました。主人が大好きな食べ方は、パンを軽くトーストして、そこに薄くバターを塗ってから、さらにアップルバターをたっぷり塗るという食べ方。
「アップルバターってバターなのに、その下にバターを塗るの?」と疑問を持ちながら、これは旨い!と私もすっかりその食べ方で毎年アップルバターを楽しんできました。そもそも、なんで「アップルバター」なんだろう。。。ピーナツをペースト状にしたものはピーナツバターで、だからりんごのバターと言ってもおかしくなさそうだけれど、りんごには脂肪分は入ってないし。。。初めてアップルバターを口にした時は、「バターなのに、あっさりしてること!」と感心して夫に笑われたということもありましたが、バターというのは単なるネーミングだけで、脂肪分も乳製品もなにも入ってないんです。
農園に出向かなくても、トレーダージョーズやその辺のスーパーでも秋になると手に入るアップルバター。毎年瓶詰めを購入していた我が家ですが、今年は手作りに挑戦してみました。いろいろレシピを研究してみたところ、作り方はいろいろ。何時間も弱火で煮込むものや、とてもアメリカ流のスロークッカー(低温で煮込める電気鍋)で作るものや、オーブンで仕上げる方法など、本当にいろいろとあるもんです。でも、基本は、まずりんごを柔らかく煮て、そして砂糖を加えて水分を飛ばして行くということ。そこでピンと来たのが、「これって、餡子??」ということ。だって、柔らかくなるまで茹でて裏ごしし、そして砂糖を加えて練り上げるという過程、何度もやったことあるよ!和菓子で!な〜んだ、バターと言っておきながら、日本人の私に言わせりゃ餡子だよ、これ。りんごの餡子!!
そう思うと、ますます創作意欲が湧いて来たのですが、なかなか餡子って作るには気合いがいるものです。今日は、日曜日ということもあり、ゆっくりできる日でもあるので、挑戦してみることにしました。私流、りんご餡、いやアップルバター。多くのレシピでは、たいていゆっくり弱火で水分を飛ばしていくんですが、私は砂糖を入れてからは中火で常にかき混ぜて水分飛ばしながら練り上げてみました。スパイスは好みで調整していただくといいと思いますが、素材の良さを味わうには、少量で良いと思います。
りんご、たっぷり1.5kg 使ったのですが、仕上がりは小さな瓶3本分ほど。鍋一杯のりんごの美味しさが、たっぷり凝縮されました。りんごの種類は、好みのものでいいと思います。ここでは、グラニースミスというアメリカでは料理によく使われる酸味たっぷりの緑色のりんごでしました。煮ると柔らかく崩れるようなタイプのりんごの方が、皮もすぐ剥がれるし裏ごししやすくて簡単に作れます。固めのりんごの場合は、最初に煮る時間を調整してすぐに潰れる程度になるまでたっぷり煮てください。
少々手間はかかりますが、出来上がりは大満足!これからは、アップルバターは毎年手作りでいこう!と決意したところでした。
- りんご 1.5kg
- りんごジュース(100%で無添加のもの。アメリカではアップルサイダーを使います。)2カップ(240ml)
- 砂糖 1.5カップ(300g)
- シナモン 小さじ1
- クローブ 小さじ1/4
- りんごは皮付きのまま、芯をとり適当な大きさ(8等分)に切り鍋に入れる。りんごジュースを加えて火にかけ、りんごが柔らかくなるまで40分ほど煮込む。(りんごの固さによって茹で時間を調整。)
- りんごが柔らかくなったら、荒めのざるを使って裏ごす。皮は取り除く。
- 裏ごししたりんごを鍋に戻し、砂糖、シナモン、クローブを加えて中火にかける。つねにかき混ぜながら水分を飛ばしていく。混ぜた時に鍋底が見えるようになって照りが付いてきたら出来上がり。(約40分から1時間ほど。)