アメリカには、材料と名前がマッチしない食べ物がいろいろあります。コーヒー味でないのにコーヒーケーキだったり(NORIKOちゃんが以前書いてたけど、私もコーヒー味だと思ってたよ!)、フレンチフライやフレンチトーストなど何かとフレンチがついたり。。。そんなへんてこなネーミングの食べ物の一つがこれ。チキンでないのに、チキンフライドステーキ。実は中身は、薄くたたきのばした牛肉。
チキンフライドステーキ(場所によっては、カントリーフライドステーキとも言う)は、アメリカ南部を中心に昔から伝わる古き良きアメリカ料理。その昔、ドイツからの移民が多かったテキサス州がこの料理の発祥地らしく、テキサスで幼少期を過ごしたうちの夫の好物でもあります。このチキンフライドステーキ、薄くのばした牛肉に衣をつけたっぷりな油で焼かれたこってりステーキなのに、なぜか朝の食卓に出てくるんです。旅行先などで、南部料理やカントリー風の朝食を食べさせるようなホテルやレストランで朝食を食べるときに、メニューにあればすかさず夫がオーダーするのがこれ。「うわ、朝からこんなん食べんのか〜?!」と思いながら、実は最近まで私は彼が「チキン」のフライドステーキを食べていたものだとばかり思ってました。
これがビーフだとわかったのは、たった1年ほど前に料理番組で作り方を紹介されていた時でした。何気に聞き流していたテレビから聞こえてくる解説に、「フライドチキン風に作るステーキだから、チキンフライドステーキと言いますが、中身はビーフです。」と聞いたときには、「ひえ〜!?」と耳を疑ったものでした。夫に確認したら、彼ももちろん牛肉だよと。。。いやあ、今まできっと一口もらったり、長いアメリカ生活のどこかで食べたことないことはないはずなのに、これがビーフだったとはね〜。なにせ、上からさらにこってりのホワイトソーフのようなグレービーがかかってるので、衣とグレービーの味で、中で薄くのばされた肉はあまり存在感がなくなっていたのでしょうかね。
この料理、牛肉は上等なステーキ肉は必要ありません。普通に食べたら噛み切れないくらいに固い赤身の安い肉で十分(アメリカにはそういうお肉いっぱいありますね〜!)適当な大きさにカットするか大きいままを、まな板の上でボンボン叩いて薄く伸ばします。必要であれば包丁で小さい切り目をたくさん入れてから叩いても良いです。アメリカでは、キューブステーキと言って、既にお肉屋さんで小さな升目状の切り目をいっぱい入れて柔らかくしたお肉が売っているので、そういうのを使ってもいいですね。
付け合わせは、たいていマッシュポテトだったり、朝食の場合はハッシュブラウンだったり、ポテト料理と合わせるのが一般的なようです。これぞ、こってこてのアメリカ料理。朝食に出すのは未だに抵抗ありますが、夕飯には安上がりでボリュームたっぷりな一品です。
伝統的なアメリカ料理であるこのチキンフライドステーキ。本場テキサスや南部以外のところでは、レストランでもなかなか美味しいものに巡り会わないのが現実のようです。ファミレスのようなところでは、一応アメリカ料理ということでメニューにはありますが、しつこいばかりでがっかりだったということが多いとうちの夫が言ってます。コテコテ料理だからこそ、安心な手作りがいいですね。
- 牛肉赤身 400-500g (約1パウンド)1−2cm程度にスライスされたもの
- 塩 小さじ1
- 黒こしょう 小さじ1/2
- 卵 1ー2個(衣用)
- 小麦粉 約1/2カップ(衣用)
- サラダ油 適量
- サラダ油(ステーキを焼いた残り)大さじ2
- 小麦粉(衣の残りでよい)大さじ2
- 牛乳(低脂肪でないもの) 約1ー1½ カップ(240-360ml)
- 塩 適量
- 黒こしょう 適量
- 牛肉をまな板の上で叩き、薄くのばして柔らかくする。必要であればナイフで細かい切り込みをたくさん入れる。両面にたっぷり塩こしょうをする。
- 1の肉を1枚ずつとり、表面に小麦粉、溶き卵、小麦粉の順番で衣をつける。
- フライパンの表面全体に1cmほど油を入れて熱し、2の肉の両面をこんがりと焼く(片面4−5分ずつくらい。)焼けたらいったんペーパータオルをひいた皿に取り出す。何度かにわけて調理する場合、先に焼けたものを天板にのせて食べる直前までオーブンで保温しておくとよい。
- フライパンに残ったサラダ油をいったん取り出し、そこから大さじ2杯分をフライパンに戻し(フライパンは洗わない)、小麦粉を加えて弱火でよく混ぜる。(ルーのような状態。)
- 少しずつ牛乳を加え、ホワイトソースのような状態になるまで弱火でよく混ぜる。ソースのゆるさは牛乳の量で調整する。塩こしょうで味を整える。
- 皿にステーキをのせ、上からたっぷりグレービー(ソース)をかける。