アメリカ人はパスタ&チーズが大好き。子供達の好物は決まってマカロニ&チーズだし、そして大人版マカロニ&チーズとも言えるのがこれ、フェットチーネアルフレッド。クリーミーなパルメザンチーズソースがたっぷりからまった幅広のパスタ。トマトソースのパスタに並んで、アメリカンイタリアンの代表格とも言えるパスタです。
さて、なぜアメリカンイタリアンなのかと言うと、これまたこの料理にまつわる面白いエピソードがあるんです。20世紀初めの頃、イタリアはローマにあるレストランのオーナー、アルフレッドさんが、つわりに苦しむ妊娠中の奥さんのために、たっぷりバター&パルメザンチーズのパスタを作ったのがこの料理のはじまり。そして1920年にたまたまアメリカから新婚旅行でローマを訪れていたハリウッドスターのカップルが、アルフレッドさんのレストランでそのパスタを食し、大のお気に入りになったとか。お礼に金のスプーン&フォークと、レストランで食事中のカップルの写真をプレゼントしたのだそうです。そして、この2人がアメリカへ帰ってから、ハリウッドのお友達みんなにアルフレッドさんところで食べたパスタの自慢話をし、その噂がたちまち広がり人気の火種となったのです。イタリアを訪れるアメリカ人スターや富豪達は、みんなこのアルフレッドさんのレストランへこのパスタ目当てに訪れるようになり、アメリカではイタリアンレストランがこぞって類似品を作って「フェットチーネアルフレッド」という名でメニューにのせるようになったのだそう。(Wikipedia参照)なので、今でもイタリアでは「フェットチーネアルフレッド」と言っても「なんじゃそりゃ?」という答えが返ってきたりするそうです。
小さな頃からイタリア料理が大好きで、母親に連れられてあちこちのイタリア料理店で幼い頃から食べ歩いていた私でも、アメリカに来るまで「アルフレッド」は聞いたことなかったです。かれこれ20年ほど前、大学に留学時代に(思いっきり歳ばれますけど!)初めてアルフレッドを食べたきっかけは、アメリカ人のルームメイト。一緒にスーパーへ食材を買いに行った時、パスタソースは瓶や缶詰のセクションで買うものだと思っていた私に、特別に売り場が設置された「冷蔵パスタ」セクションへ連れ行ってくれたのです。今でさえ当たり前のように通り過ぎるし、あまり買おうとも思わないのですが、その当時の私には真空パックになって並んでいる生のパスタや、冷蔵保存でパッケージされているあらゆるソースを目にして感動したのを覚えています。彼女のお気に入りが、エンジェルヘアとペスト(ジェノバペースト)のコンビネーションと、このフェットチーネとアルフレッドソースでした。週一でどちらか食べてたんじゃないでしょうか。アメリカの大学生の食事というと、やはり簡単で経済的という点でもパスタが多いんですよね〜。
あの頃の私は、アルフレッドソースというと、スーパーの冷蔵庫から買うものだとばかり思ってたのですが、実は家でも簡単に作れるんです。ほとんど混ぜるだけです。アルフレッドさんが作ったオリジナルは、たっぷりの溶かしバターとパルメザンチーズだけだったそうですが、アメリカではもっとクリーミーで生クリームたっぷりのホワイトソースのようなものが多いです。ここで作った私のレシピは、その中間くらいかな。ベシャメルソースのように小麦粉を炒めたりする必要もなく、生クリームとバターを軽く火にかけてたっぷり削ったパルメザンチーズを混ぜてパスタに絡めるだけ。味付けは塩こしょうのみ。たっぷり削りたての黒こしょうを入れるのが美味しいです。
チーズの味がそのままソースの味になるので、美味しさはパルメザンチーズの質にかかってます。とは言え、私は冷蔵庫の隅っこで、端っこの方だけ忘れられたようになったパルメザンチーズの小さなかたまりを削ったりするんですけどね。数種類をブレンドするのもいいかと思います。ポイントは、やっぱり家で削ることですね。缶に入ってるようなパルメザンチーズだと、全く別ものの料理になってしまう恐れがあるので、おすすめできません。
あっと言う間にできてしまうこのパスタ、タイミング良く作るのも重要です。冷めると固まってしまって、ねちょねちょになってしまいますのでご注意を。そして、これだけで食べるよりは、シーフードやチキンのグリルなんかの付け合わせとして出す方がむいてます。(カロリーもかなりのものですので。。)なので、このレシピでも4〜5人分で乾燥パスタ300グラムにしておきました。
アメリカ料理ってやっぱり面白い〜って思ったエピソード付きのこの料理。私の大好きなパスタでもあります。是非お試しを〜!
- フェットチーネ(乾燥)300g
- 生クリーム 1/2カップ(120ml)
- バター 1/4カップ(55g)
- パルメザンチーズ(削る)2/3カップ強(80g)
- 塩 適量
- 黒こしょう 適量
- 大きな鍋にたっぷりの熱湯を沸かし、適量の塩を入れてパッケージの表示どおりにパスタを茹でる。
- パスタを茹でている間に、鍋に生クリームとバターを入れて弱火で熱しバターを溶かす。
- 2にパルメザンチーズを入れて混ぜ、塩こしょうで味を整える。
- パスタが茹で上がる寸前に、茹で汁を1/4カップほどすくいとっておく。茹で上がったパスタをざるにあけ、再びすぐに鍋に戻し、3のソースを加えて混ぜる。味をみて必要であればさらに塩こしょうをする。汁気が必要であれば、パスタの茹で汁を少しずつ入れて調整する。
- 皿に盛りつけ、好みでさらにパルメザンチーズと黒こしょうをふりかける。