私は20代のほとんどをフロリダ州のマイアミで過ごしました。マイアミは、キューバ人を筆頭にカリブ海諸国や中南米からの多くの移民が住む街。あちこちでスペイン語がとびかい、ラテン文化がかなり浸透しているところです。私はそこで、大学へ通いその後社会人として生活していたのですが、7年間の間にスペイン語は全く身につかなかったけれど、食文化にはかなりはまりました。そのマイアミラテン食文化の代表的なのが、アロスコンポヨ(チキンライス。)
アロスコンポヨと一言に言っても、国によって少しずつ変わってくるようです。例えば、オリーブを入れる入れないなど、材料に少し違いがでる程度。私が食べ慣れていて、マイアミを離れてからも家で時々つくるのがキューバ風のもの。大きなお鍋に骨付きの鶏肉と米を一緒に炊いた、キューバ風炊き込みご飯。味の要になるのが、ソフリトと呼ばれるたまねぎ、ピーマン、にんにくを一緒にソテーしたもの。そこに香草やトマトなども一緒に炊き込みます。隠し味が、ビール。はい、ビールでご飯を炊くのです!これは、プエルトリコ人のおっちゃんから聞いたのですが、最初は半信半疑で、ワインで試してみたり、チキンブロスで炊いてみたりもしましたが、この味は出ませんでした。やっぱりビールが隠し味でした。
マイアミのキューバ食堂とでもいうような大衆食堂で、お皿に山盛りに盛られたアロスコンポヨを会社の昼休みによく食べたなー。そして、キューバ系アメリカ人のお友達宅に伺うと、お母さんが大鍋にたっぷりアロスコンポヨを作ってくれていたり。私にとっては思い出の味なのです。
前置きがかなり長くなりましたが、以下レシピです。アナトーシードはラテン系の料理によく使われるもので、濃い黄色と独特の風味が特徴でこの料理に使われています。何度かサフランで代用してみましたが、そうするとまた違うものになってしまうので(パエリアの味に・・・)、アナトが手に入らない場合は入れなくてもおいしいです。それと、骨無し肉やむね肉でも作りましたが、やっぱり良い味が出るのが骨付きもも肉です。
- 骨付き鶏もも肉 4枚
- 塩 小さじ1/2
- こしょう 小さじ1/4
- クミン 小さじ1
- 赤ワインビネガー 大さじ2
- オリーブ油 大さじ3
- アナトーシード(あれば)小さじ1/4
- 玉ねぎ 1個(みじん切り)
- 赤ピーマン 1個(みじん切り)
- にんにく 3かけ(みじん切り)
- シラントロ(香草=コリアンダー)大さじ1(みじん切り)
- トマト 1個(種を除いてみじん切り)
- トマトペースト 大さじ1
- ビール 1½カップ(360ml)
- 水 2/3カップ(160ml)
- 米 1½カップ(2合)洗って水を切る
- 骨付き鶏もも肉は、そのままの大きなサイズかドラムスティックとももの部分に切り分け、皿かボールに入れ、塩、こしょう、クミン、赤ワインビネガーをふり全体をもむようにして味をなじませる。そのまま最低15分おく。
- 厚手の大きな鍋にオリーブ油とアナトーシードをいれ、弱火でゆっくり熱する。油が温まるにつれて、アナトーの色と香りがオリーブ油に移る(5分程)。アナトーシードをスプーンなどで取り出す。
- 鶏肉を2回にわけて1.の鍋に入れて両面に焼き色をつける。5分ほど焼いて全体に焼き色がついたら皿に取り出す。鶏からたくさん油が出るので、脂っこさが気になる場合は、油を少し取り除き、大さじ3程を鍋に残す。
- 玉ねぎ、赤ピーマン、にんにくを3.の鍋に入れ、中火で5分ほど炒める。シラントロ(香草)を入れ、さらに2分ほど炒める。
- トマト、トマトペースト、ビール、水を加え、1.の鶏肉を入れる。煮立ったら、弱火にして20分ほど煮る。味見をして必要なら塩を足し味を調える。
- 米を加え、中火で煮立たせてから火を弱めふたをしてさらに30分煮る。米が柔らかく炊き上がったら、全体を大きく混ぜてふたをして5分ほど蒸らす。